Wednesday, September 24, 2014

ITとミャンマー


携帯電話のSIMカードが十万円以上。
これは、数年前までのミャンマーの話である。

その後、SIMカードの値段は段階的に下がり、
今年、1500チャット(150)SIMカードが発売された。

街中の若者はスマートフォンを片手に歩き、
新しいモデルが出る度に買い替える人もいる。

そんなミャンマーの人たちが夢中になっているのが
FacebookViberで、
携帯ショップやネットカフェには
アカウントを有料で開設するというサービスも。

ネットショップやオンラインバンキングなど
インターネットの活用も広がってきた。

携帯電話やネットの普及がますます進むミャンマー。
知らない家に電話して、その近所に住む友人を呼んでもらう、

そんな日々が懐かしくもある。

Monday, September 22, 2014

会員制化粧品



ミャンマー国民の主要な情報源は「口コミ」である。

というのも、2012年にメディアの事前検閲が廃止されるまで
国営テレビはもちろん、新聞や雑誌なども
当局の許可を得たものしか取り扱うことができなかった。
当時の軍事政権にとって不利な情報や
国民を混乱させると判断された情報は全て取り除かれた。

そのため、国民は噂や口コミから知りたい情報を得た。
もちろん正誤の判断も重要となるのだが。

そんな口コミ社会のミャンマーで今、流行っているビジネスがある。
いわゆる「会員制化粧品」である。

もともと、輸入ブランド品の手に入りにくかったミャンマーでは
個人輸入者から外国製品を購入するというマーケットがあり、
スーパーなどでは買えないものを使うことがステイタスでもあった。

先日、友人の義理のお姉さんの美容室にお邪魔する機会があり、
とある会員制化粧品を紹介された。
1ヶ月分、25000チャット(2500)とそれなりのお値段だったが
熱心に説明され、無難そうなサプリメントを購入。

その数日後、ショッピングセンターで声をかけられたのも
また別の会員制化粧品のセミナーの勧誘であった。

まさに変動の時期。

毎日いろんなことがある。

Monday, September 15, 2014

昨日の出来事


今週は電気代の支払い。
毎回30分くらい並ばせられるのだけれど、
いつも同じ光景に出くわす。

ミャンマーでは、僧侶は「ヒト」ではなく、
より高貴な存在と考えられる。

バスの前部には僧侶の優先席があり、
女性は僧侶の袈裟に触れてはいけないし、
敬虔な仏教徒は僧侶の影を踏まないよう避けて歩く。

僧侶と話す時には特別な敬語があり、
「ヒト」同士で話す時のそれとは異なる。
僧侶が自分より年下であっても、こどもであっても
その敬語が使われる。

電気代の支払いでも、僧侶は優遇される。
長い列に目もくれず、僧侶は最前列に向かい
ささっと支払いをすませる。
並んでいる人たちも、特に気に留めない。
それどころか、後ろに僧侶が立っていることに気付かない
前の人に気を揉んでさえいる。

ミャンマーは仏教国なのである。

Sunday, September 14, 2014

おもてなし



「ミンガラーバー」
これは、日本語でいうと「こんにちは」にあたる挨拶である。
だが、親しいミャンマー人同士では、「こんにちは」という挨拶よりも、
「ごはんを食べましたか」と声かけすることが多い。

ビルマ族をはじめ、カレン族、シャン族など、さまざまな民族が暮らすミャンマー。
都市部や国境地帯にはインド・バングラ系や中国系の人々も多く、
まさに多民族国家であり、その影響は食文化にも表れている。

そんなミャンマーでは宗教的な理由から、
菜食主義であったり、四足のものを食べなかったりといった人も多い。
また農業が盛んで、田舎では牛を使って畑を耕し、
物を運ぶことなどから、牛を食用ではなく、
「大切な相棒」と考える人もいる。

さらに興味深いのは、牛肉を食べると、
家庭不和など、災いが起こると考える人が多いことである。
これは、仏教というよりアニミズム(精霊信仰)に近いものであろう。

また、朝早く、まだ薄暗いうちから家の前に出て、
僧侶に食べ物を捧げる人々の姿を見かけることがある。
托鉢である。

昔には見知らぬ旅人でも、食糧や寝床を提供したというミャンマーの人々。
そのこころからか、知り合いの家に立ち寄ったら
ごはん食べていって、と思わずもてなされることも。

日本の「おもてなし」に通ずるものがあるように思う。

Friday, September 12, 2014

マッサージ体験



中のいたる所に、建設中のマンションやショッピングセンターが見られ、
新しいレストランも次々とオープンしているヤンゴン。
ただ、若者が遊びに行くところというと、
パゴダや公園、映画館くらい。
そんなヤンゴンの夜のエンタメはKTV(カラオケ)とマッサージ。
しかも男性限定である。

最近は女性でも気軽に行けるお洒落なKTVも増えてはいるものの、
マッサージはというと、スパやエステで有名なお隣のタイのような
南国の楽園的なものではなく、
薄暗い部屋ということからも連想されるように、
職場で「昨日会社帰りにマッサージに行ってさー。」
なんて会話は、女子の前では禁句である。

そんな禁断のマッサージを体験してきた。

通された部屋はマットレスが7つ並んだ大部屋。
イメージ通り、薄暗かった。
しばらくすると20歳前半くらいの小柄な女の子たちが入って来て、それぞれ施術が始まる。

足の裏から、脚全体、手、腕、背中、
そして最後は頭までの2時間コース、7000チャット(700)

ミャンマーは美容院で洗髪をしても、すごく小柄な子が
すごい力で頭のマッサージをしてくれたりして、
痛いくらいなことも多々あるが、今回もすごい指圧で、
むしろ施術後の方が体中に痛みが残るほど。

肝心の男性たちはというと、施術よりも担当の女の子とのおしゃべりに夢中。
お気に入りの娘の名前を聞き出し、携帯番号交換と楽しそう。
外に出たのは夜22時前。
すっかりコリもほぐれた私は真っ直ぐお家に帰って熟睡だったけど、
ヤンゴンの夜は長いのである。

Wednesday, September 10, 2014

ミャンマー



私がミャンマーに渡った七年前、
その国がどこにあるのかさえはっきりしないという人がほとんどだった。

今ではミャンマーは「アジア最後のフロンティア」と呼ばれ、
日本での認知度も上がってきたように思う。
民主化・経済成長が期待され、
またミャンマーの人々は真面目で勤勉であると、
日本からも進出する企業が増えつつある。
ただ、実際には様々な問題に突き当たってしまうことも少なくないようだ

ミャンマーは仏教国である。
転生輪廻を信じ、功徳を積むことが彼らの道徳観念の根幹にある。
人々は仏に花を捧げ、掌を合わせて祈るのである。
鳥や魚を放し、貧しいものに施しを行う。
これらの光景は日常に溢れ、しごく自然な風景である。
ミャンマーの人々は善を積み、より善き福徳を得ようとするのである。

そこで、日本の皆さまに考えてみてほしい。
よいことをする人が偽善者と呼ばれてしまう社会は生きにくくはないだろうか。
他人のためではなく、自分のために、他人の幸せを願える。
ミャンマーの本当の魅力はそんな姿勢にこそあるのではないだろうか。


(朝日新聞、声欄投稿・原文)