私がミャンマーに渡った七年前、
その国がどこにあるのかさえはっきりしないという人がほとんどだ
った。
今ではミャンマーは「アジア最後のフロンティア」
と呼ばれ、
日本での認知度も上がってきたように思う。
民主化・
経済成長が期待され、
またミャンマーの人々は真面目で勤勉であると、
日本からも進出する企業が増えつつある。
ただ、
実際には様々な問題に突き当たってしまうことも少なくないようだ
。
ミャンマーは仏教国である。
転生輪廻を信じ、
功徳を積むことが彼らの道徳観念の根幹にある。
人々は仏に花を捧げ、掌を合わせて祈るのである。
鳥や魚を放し、
貧しいものに施しを行う。
これらの光景は日常に溢れ、
しごく自然な風景である。
ミャンマーの人々は善を積み、
より善き福徳を得ようとするのである。
そこで、
日本の皆さまに考えてみてほしい。
よいことをする人が偽善者と呼ばれてしまう社会は生きにくくはな
いだろうか。
他人のためではなく、自分のために、
他人の幸せを願える。
ミャンマーの本当の魅力はそんな姿勢にこそあるのではないだろう
か。
☆
(朝日新聞、声欄投稿・原文)
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